-Flute-News-Essence-
アルソ出版/ザ・フルート第13号掲載記事(1994年12月20日発行)
♪東京バロックアンサンブル
11月3日(木)三井住友海上玉川研修所
J.Sバッハ&グノー:アヴェ・マリア
J.N.フンメル:「ロシアの主題」によるトリオ イ長調 Op.78
他
都会の喧躁を離れて町田市の山の中、小高い丘を登っていくと今日のコンサート会場があらわれてくる。
東京バロックアンサンブルはその名の通り、バロック音楽の追求を目指すグループである。
第1部は、フルート、オーボエ、チェロ、チェンバロによるこれぞバロックの神髄といったバッハの代表的な曲目で聴衆を楽しませてくれた。
第2部はチェンバロに変わってピアノ伴奏によるフルート名曲集。フルートの岡村考二氏は、これまでのステージにもまして水を得た魚のように鮮やかだった。曲目も私たちの耳になじんだものばかりで、特に『シシリアーヌ』は漂う時の流れ、心のうつろいといったものを見事に演出していた。まるで淡い中間色で描かれた絵を見ているようだった。
岡村氏は曲の合間に楽器紹介、作曲者や時代の説明など、司会役もこなし、心の通ったステージが好印象を与えた。岡村氏は大変きさくでクラシックをより多くの人に身近に感じてもらうよう、全国各地を訪れているそうだ。