CONCERT REVIEW
アルソ出版/ザ・フルート第92号掲載記事(2008年4月1日発行)
岡村考ニ クリスマス・フルートコンサート
12/3(月)フィリアホール(神奈川)
共演:長谷川由美子(Pf)
プログラム シューベルト:アヴェ・マリア、ラヴェル:ハバネラ形式の小品、シューマン:3つのロマンス 作品94、クリスマス・メドレー、ドビュッシー:「小組曲」より小舟にて、ノブロ:メロディ、ゴーベール:ソナタ第3番 他
NHK-FM等に数多く出演、また多くの出版物があり、独奏、室内楽奏者として活躍し、東京バロックアンサンブル代表、文京学院大学生涯学習センター講師も務める岡村考二氏の第13回クリスマスコンサートが行なわれた。
演奏会は、プログラムに曲目解説を載せず岡村氏が丁寧に説明する形で進行。穏やかな語り口調で、非常にわかりやすい氏の説明は曲の情景が浮かびやすい。フィリアホールの優しい雰囲気、氏のわかりやすい説明と岡村氏の人柄を表した柔らかい優しい演奏会であった。
岡村氏の伸びやかな音色と、心の中まで浮かび上がらせるような表現によって演奏される曲目がクリスマスムードを盛り上げる。フィリアホールの美しい背景が岡村氏の演奏によってまるでクリスマスツリーのように見える一幕もあった。聴衆は立ち見まで出る盛況ぶりで、演奏終了後には2階席にまでしっかりと謝辞を贈る岡村氏の人柄に大変好感を持った。演奏会に足を運んだすべての聴衆にとって忘れがたいクリスマスの夜となったことだろう。