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山形新聞　東京バロックアンサンブル公演記事(2008年9月28日朝刊)

川西にクラシック活動の土壌をつくる

移住のフルート職人・故麻里さん十三回忌

　東京から川西町に移り住み、同町で現在行われているクラシック音楽に絡む活動のきっかけをつくった、フルート職人麻里左貴磨（まり・さきま）さんの十三回忌をしのぶ「東京バロックアンサンブルコンサート」が27日、町内で聞かれた。

　麻里さんは東京都国立市の楽器メーカーで修業した後に独立、同市でフルートの製造や修理などを行っていた。しかし体調を崩したため1981(昭和56)年、自然環境豊かな川西町玉庭に療養のため移住。96年4月に61歳で永眠した。
　麻里さんとの縁で著名な演奏家が町を訪れ、コンサートに同行した演奏家が後に再び町で演奏会を聞く−などといった連鎖が生まれた。人々のつながりは、麻里さん亡き後も途絶えることなく続いている。
　コンサートは公益財団法人 三井住友海上文化財団理事で、東京バロックアンサンブル代表岡村考二さんの提案を受けて開催。麻里さんが作った銀のフルートを音大生時代から愛用している岡村さんは「人のつながりの大切さを麻里さんから学んだ。川西町の人々とも出会うことができた」。
　この日は、玉庭小中学校でミニコンサート、川西町フレンドリープラザのロビーで追悼コンサートがそれぞれ開かれた。同プラザには町内外から80人が来場。麻里さんのエピソードを紹介した後、フルート、オーボエ、チェロ、ピアノで編成する東京バロックアンサンブルがバッハやビバルディなどの曲を披露。ロビーに響く透明で伸びやかな音色に、聴衆は静かに聞き入っていた。

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