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アルソ出版／ザ・フルート第81号掲載記事（2006年4月25日発行）

究極のエチュード活用術

ERNESTO KOHLER : 35 EXWRCISES for Flute op.33 Book1 No.1

岡村考二
Koji Okamura

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　E.ケーラーのエチュードOp.33は３巻からなり、美しいメロディーの中に、演奏テクニックを身につけるのに必要な技術を要求しております。このエチュードを丁寧に練習していけば、必ず高度の演奏技術が身につくはずです。Book�Tの第１番にはこのエチュードのポリシーが集約されているように思います。

まず曲想表示について考えてみましょう。

　Allegro moderato。「Allegroは速くで、moderatoは中くらいの速さだから、うーん？その間の適度な速さかな」と考えるのは、ちょっと早い！Allegro は“速く”だけではなく、“活発で明るく、快活であること”、moderatoは“中くらいの速さ”だけではなく、“穏やかに”という意味もあり、１小節目にあるdolce(甘く、愛らしく)の曲想表示の意味も考えると、速く演奏する曲ではないことがわかります。言葉の表現のニュアンスは１つではなくたくさんあるので、作曲者の意図していることを把握するためにも必ず辞書をひいて調べましょう。

スタッカート(・) とアクセント(＞)記号は要注意！

　E.ケーラーのエチュードOp.33ではテヌート(−)の記譜がありません。スタッカート(・)、アクセント(＞)の記譜はテヌートの意味を含んでいます。スタッカートは｢その音を短く｣、アクセントは｢その音を強く｣といった固定観念を取り払って演奏解釈をする必要があります。
　スタッカートの表す意味には�@staccato(１つずつの音を短く切って演奏する)、�Atenuto(音を保持して、その音の表わす長さを十分に保って演奏する)、�Bagogik(楽想に応ずる微妙な速度変化と間のとり方)の３つの意味があります。
　アクセントの表す意味にも�@sforzando(その音を特に強く)、�Atenuto、�Bagogikの３つの意味があります。
　1番のエチュードにはたくさんのスタッカートが出てきます。裏拍についているスタッカートは�@staccato、の意味とともに次の音につながる�Bagogikの意味があります。

基本を大切に！

　一つ一つの音を大切に、呼吸、タンギングに注意しましょう。
呼吸は口からではなく鼻からとるのが基本です。肺を100％活用し、深い呼吸ができるように！山の頂上で大きな声で、「ヤッホー！」と叫ぶ時の喉の開きを考えてみてください。とても良い開きになっています。練習は丁寧にメトロノームをかけて、ゆっくりとしたテンポから始め、音の持つ意味をよく考えてみましょう。
　最初の部分は８小節間のフレーズになっています。譜例�@のように、メロディーのイメージを作ってから練習してみるとよいでしょう。８小節目のＣ音は解決する音になりますから、スタッカートは�Atenutoと考えてよいでしょう。前のＨ音のスタッカートは導音ですから、より�Bagogikの意味があります。
　３７、４1小節等の跳躍は、MARCEL MOYSE著 DE LA SONORITEの｢アタックと音の連結｣の項を参考に練習してみましょう。(譜例�A)
44小節のフェルマータは譜例�B、(　)内の音のように倍に伸ばすとよいでしょう。
　練習は、曲のイメージを思い描きながら行ってください。最初の部分は｢子供に語りかけるように｣とか･･･、フレーズのつながりをどのように演奏するか･･･等、イメージトレーニングを行ってください。きっと新しい発見があるはずです。

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15 Easy Exercises

35 EXWRCISES for Flute op.33 Book1 No.1
楽譜の表示はTheFlute81_1a.pdf へのリンクから
（PDFファイルでの表示となります）

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